CROSS TALK 05

二人三脚で取り組むDX推進。 目指すは、 業務改革とカルチャー変革。

2022年、農林中央金庫IT統括部内に「DX班」が新設されました。その名称が示す通り、自社におけるDX推進を本格化させることがひとつの目的です。連携するのは、農中情報システム開発三部。会社の枠を超えて活動する両社の取り組みについて語り合ってもらいました。

  • A.K.

    農林中央金庫 IT統括部 DX班 2011年入社

  • Y.K.

    農林中央金庫 IT統括部 DX班 (※農中情報システムより出向) 2012年入社

  • N.A.

    農中情報システム株式会社 開発三部 共通基盤3班 2021年入社

  • K.T.

    農中情報システム株式会社 開発三部 共通基盤3班 2018年入社

  • Y.I.

    農中情報システム株式会社 開発三部 共通基盤3班 2008年入社

農林中央金庫との関係 金融とIT、どちらにも 精通することが、NICの強み。

CHAPTER 01

Y.I.

Y.I.

今回は農林中央金庫とNICとの座談会です。まずは、両社がどのような関係にあるか、簡単に触れておきましょうか。

A.K.

A.K.

そうですね。まずは私が所属する農林中央金庫についてですが、簡単に言うと、農業・林業・水産業それぞれの協同組合組織を出資者とする金融機関です。農林水産業者などへの貸出を行うとともに、国内外で多様な投融資を行って出資者に還元することで、農林水産業の発展に寄与しています。

Y.K.

Y.K.

そんな農林中央金庫とJAバンクのシステム開発・保守を担っているのがNICです。私はNICの社員ですが、現在は農林中央金庫に出向しています。

Y.I.

Y.I.

私も以前、Y.K.さんと同じように出向していました。今、出向者は総勢70名くらいでしょうか。年を追うごとに連携が深まっています。

K.T.

K.T.

NICが連携する相手としては他に、システム開発の実作業を担うITベンダーさんがいますよね。実は入社するまではイメージしきれていなかったんです。農林中央金庫がいて、ITベンダーがいる。その間にNICが入る意義ってなんだろう? と。

対談の様子
Y.K.

Y.K.

そうなんだ(笑)。でも確かに、働きはじめるまではわかりづらいところかも。

K.T.

K.T.

もちろん今は、しっかり理解しています。当社は農林中央金庫の業務内容や開発規定を熟知しているので、要望を的確に捉えることができる。ITベンダー各社からの提案に対しては、ITのスペシャリストとして自信をもってジャッジできる。そこに存在意義があるのかなと。

A.K.

A.K.

そうですね。金融とIT、どちらにも精通していることがNICの強みだと思います。農林中央金庫にとって、とても心強い存在です。

DX推進 ユーザー側も、管理側も、 もっと効率的に働けるように。

CHAPTER 02

A.K.

A.K.

農林中央金庫が数年前から取り組んでいるのが、各種レガシーシステムのモダナイズです。

Y.I.

Y.I.

レガシーシステムの1つが、オンプレミスで構築した旧グループウェアでした。メールや掲示板が集約されていましたが、利用環境が限定されるため、テレワークには不向き。社員に配布されているスマートフォンはこれまで単なる電話でしかありませんでしたが、クラウドサービスであるMicrosoft365やServiceNowを導入したことで、メールも社内通知も承認フローも、スマートフォンひとつで完結できるようになりました。

対談の様子
A.K.

A.K.

システム導入にあたっては、ただ単にクラウド移行するだけでなく、BPRとセットで行うことが大事です。BPRとはBusiness Process Reengineeringの略称で、業務改革のこと。自社特有の業務フローを見直し、より効率的な働き方に変えていくことをDXの基本方針にしています。

K.T.

K.T.

BPRのわかりやすい事例を挙げると、シングルサインオンなどがありますね。

N.A.

N.A.

シングルサインオンは、ちょうど私が担当しています。Microsoft365のアカウントがあれば、各種SaaSアプリケーションにもシームレスにサインオンできる仕組みを構築しているところです。

K.T.

K.T.

システムごとに都度サインオンするのは煩雑。でも、システム間で連携すればサインオンが1回で済み、業務を効率化できる。

N.A.

N.A.

しかも、ユーザー側はID・Passwordをいくつも覚えなくて済みます。システム管理側も、四半期ごとのID棚卸し作業を大幅に削減できる。同様の考え方で取り組んでいるのが、ServiceNowのユーザー登録。Y.I.さんと私がNICの担当者で、Y.K.さんがDX班の担当者です。

対談の様子
Y.I.

Y.I.

現状はシステムごとにユーザー登録が必要。DX班と一緒に構想しているのは、ServiceNowに登録すれば、その1回で済むようにすることです。

Y.K.

Y.K.

コミュニケーションはMicrosoft365へ、コンテンツはBOXへ、ワークフロー系はServiceNowへ。大きくこの3つに集約しようという思想のもと進めています。

K.T.

K.T.

私は旧グループウェアの担当として、ServiceNowへの移行作業をサポートしています。あと、固定電話をTeams電話に切り替える取り組みにも携わっています。コスト削減とともに、テレワークやフリーアドレスにつなげることが狙いです。もちろん、セキュリティを十分に確保することが大前提となります。

A.K.

A.K.

いずれの取り組みにおいても、システム導入と業務改革をしっかりセットで進めようと意識していますね。

企業文化の変革 手続き重視から、 「変える」ことに前向きなカルチャーへ。

CHAPTER 03

A.K.

A.K.

DX推進の狙いは、業務改革だけではありません。時代に合わせて企業文化を変革することまで視野に入れています。合言葉は、デジタル・トランスフォーメーション(DX)からコーポレート・トランスフォーメーション(CX)へ。

Y.K.

Y.K.

農林中央金庫もNICも、数年前まではどちらかというと保守的でした。でもコミュニケーションツールやワークフローなど、身近なところで業務改革が進むにつれて、一人ひとりの意識も変わっていきましたよね。

Y.I.

Y.I.

はい。数年前までは、両社ともに手続き重視。スタンプラリーのようにたくさんの承認印が必要でした。でも最近は、そうした古い慣習にメスを入れていこうという機運が高まっています。「この仕組みって本当に必要?」と互いに腹を割って話し合える。建設的な議論ができるから楽しいですよね。

N.A.

N.A.

私も入社1年目のころは、農林中央金庫の担当者に連絡するときはかなりビジネスライクでした。でも今はTeamsがあるので、ちょっとした質問や意見をおしゃべり感覚で投げかけられる。Y.K.さんにもすごく相談しやすいです。

Y.K.

Y.K.

チャネル内で話せるようになって、距離が縮まりましたよね。

A.K.

A.K.

フランクなコミュニケーションが当たり前になって、会社や部署の間に垣根がなくなりました。

対談の様子
K.T.

K.T.

それに、今までは何かを変える提案って、少し勇気のいることでした。お互い労力がかかるから、煙たがられるんじゃないかと。でも最近は、ハードルが一気に下がりました。NICからも、「これを変えていきましょう」とどんどん提案できる風土になりました。

A.K.

A.K.

今のいい循環を継続したいですね。私たち農林中央金庫側は、システムの運用などが見えていないことも多々あります。NICとして「この作業が大変なんです」「実はコストがかかるんです」と気兼ねなく指摘してもらえたらうれしいです。

Y.I.

Y.I.

互いに手を取り合って変革を進める風土が、今まさに根づきつつある。DXからCXへという流れを、今後さらに加速させていきたいですね。

対談の様子